Mさんは出版社に勤務しています。今年四月に配置転換があり、これまで一緒に仕事をしたことのない先輩とデスクが隣になりました。
その先輩は、自分よりも明らかに仕事量が多く、責任のある立場で毎日忙しいにもかかわらず、常に余裕が感じられます。Mさんは、自分と先輩の仕事の進め方について比べてみることにしました。
例えば原稿を執筆する際、Mさんはまず頭の中で構想を練ってから書き出します。しかし、先輩はテーマが決まるとすぐに書き出していることが分かりました。
その点について先輩に尋ねると、「私の場合は、一行でもいいから書いてみようとパソコンのキーボードを打つようにしているんだ。すると、そこから文章を思いつくことがあるからね」という答えが返ってきました。
仕事の進め方はひとそれぞれで正解はありませんが、時にはやり方を変えて進めるのも大切だと気づいたMさん。執筆する際は、あれこれ考え過ぎず、まずは一歩踏み出してみようと、キーボードを打つことにしました。
今日の心がけ◆初めの一歩を踏み出しましょう
出典:職場の教養11月号
感想
このエピソードから、「まずは一行でも書き出してみる」というシンプルな行動が、どれほど仕事において有効かを感じました。
Mさんの先輩は、忙しい中でも余裕を持って仕事をこなしており、その秘訣が「完璧な構想を練る前に書き始める」ことにあるという発見は、仕事や創作に関わる多くの人にとってヒントになるでしょう。
私たちも「何から手を付けるべきか」と考えすぎて動けなくなる場面は多くありますが、最初の一行を書くという簡単な一歩を踏み出すことで、不思議とアイデアが湧いてきたり、自信が生まれたりするものです。
先輩の姿勢は、経験に基づく知恵や、日々の仕事への確かな信念が垣間見えるもので、同僚にとっても刺激的な存在と感じられます。
また、Mさんが先輩から学ぶことで自分の仕事スタイルに新しい視点を取り入れ、柔軟にアプローチを変えていく姿勢にも感心しました。
新しい視点ややり方を試してみることで、自己成長にもつながるだけでなく、結果として仕事の効率も向上する可能性があります。
「まずはやってみる」という一歩を大切にすることで、仕事の進め方に余裕が生まれたり、予想外の発見が得られたりするのは、私たちもすぐに実践できるヒントとして非常に価値があると感じます。
このような姿勢を取り入れることが、今後のMさんにとっても大きな財産になるのではないでしょうか。
否定的な感想
「まず書き始める」というアプローチが誰にでも効果的であるとは限らない点に注意が必要です。
Mさんが先輩のやり方を参考にすることは素晴らしいですが、仕事の進め方には個人差があり、必ずしも同じ手法が全員に適応できるわけではありません。
先輩のように「書きながら考える」スタイルが自然にできる人もいれば、逆に最初から一定の構成や目的を固めておかないと混乱してしまう人も多いです。
そのため、Mさんが自分自身にとって最適な方法を見つけるためには、単に先輩の真似をするだけでなく、他の方法も併せて検討し、自分に合うスタイルを模索することが求められるのではないかと感じます。
さらに、Mさんの仕事の進め方が変わったことが結果的に業務の効率を上げたり成果を上げる結果になったのか、その効果について具体的な記述がないため、単に一時的な改善に留まっている可能性もあります。
先輩の方法がMさんに刺激を与えた点は良いものの、そこに彼自身の工夫や試行錯誤を加えなければ、持続的な成長につながらない恐れもあります。
仕事の効率や成果が長期的に安定するためには、様々なアプローチを試し、自分なりの方法を積み重ねていくことが重要で、必ずしも他者の方法をそのまま取り入れるだけでは不十分だと思います。