読み聞かせ
Aさんには二人の幼い子供がいます。上の子は絵本が大好きで、毎晩寝る前に親に絵本を読んでもらうのを楽しみにしています。
Aさんも我が子のために、どんなに忙しくても、仕事で家を空ける時以外は、必ず一緒に布団に入り、その時間を大切にしています。
しかし、あまりに疲れていたり眠かったりすると、絵本を読まずに「今日は早く寝よう」と子供に促してしまいます。
また、子供は気に入った本を何度も読もうとするので、読み手であるAさんが飽きてしまい、気が進まないこともあります。それでもAさんは続けました。
ある日、いつも通り読み聞かせをしようと寝室へ向かうと、部屋から声が聞こえてきました。なんと、普段から繰り返し読んでいる絵本を、上の子が下の子に読んであげていたのです。上の子は絵本の内容をすべて暗記していました。
その光景を見て、Aさんは子供の能力に感心するとともに、継続することの大切さを改めて実感したのでした。
今日の心がけ◆一つのことを継続してみましょう
出典:職場の教養4月号
感想
この話には、静かだけれどとても力強い感動がありました。
Aさんのように、日々の忙しさや疲労の中でも「絵本の読み聞かせ」を子供との大切な時間として守り続けている姿勢には、深い愛情と責任感を感じます。
そして、その小さな積み重ねが、子供の記憶力や表現力、さらには弟や妹への思いやりにまでつながっていくというエピソードは、まさに「継続は力なり」という言葉の生きた証だと思いました。
特に印象的だったのは、子供が絵本の内容を暗記し、自ら弟や妹に読んであげていた場面です。
これは単なる知識の蓄積ではなく、親の姿勢や日々の習慣が、無意識のうちに子供の心に深く根付いていた結果だと感じます。
Aさんが「読み聞かせ」という行為に込めていた思いが、言葉以上の形で受け継がれていく、その静かな奇跡に心を打たれました。
「一つのことを継続してみましょう」という今日の心がけは、ただ努力するという意味だけでなく、誰かとの関係性や信頼を育むための継続にも通じるのだと、改めて気づかされました。
否定的な感想
この話には少し理想的すぎる側面もあるように感じました。
日々の育児や仕事の中で、疲れ切った体と心を抱えながら、「毎晩必ず読み聞かせをする」ことを義務のように感じてしまうと、時にその行為が苦痛やプレッシャーになってしまうこともあるでしょう。
Aさんが絵本を読むのが億劫になる気持ちは、むしろ多くの親が共感するリアルな感情です。
また、「継続すること」が美徳として語られる一方で、それが完璧主義や自己犠牲につながってしまう場合もあります。
子供にとっても、無理をしている親の姿を感じ取ることは、逆に心に不安を与えるかもしれません。だからこそ、「継続は力なり」であっても、「継続にはゆとりが必要」ということも同時に大切にすべきだと思います。
「続ける」ことの価値は確かに大きいですが、それは「無理なく」「楽しんで」という前提があってこそ。
子供との時間を心から楽しめるよう、自分自身への配慮や柔軟さも忘れずにいたいものです。