金星をあげる
大相撲で平幕の力士が横綱に勝つことを「金星をあげる」といいます。この言い回しは大正期から相撲界で使われてきました。
大相撲の世界では、力士の給与も成績や階級によって異なり、金星をあげるとその実績が評価され、後の給与に反映されます。
最高位である横綱は「品格」と「強さ」が求められ、相撲界の看板を背負って相手と対峙します。
一方で他の力士にとって、横綱を破ることは一つの大きな目標です。そのために、日々の稽古を通して心技体を磨いているのです。
私たちの仕事に置き換えると、「金星」をあげることは、難しい仕事を完遂し、大きな成果をあげることに相当します。そして、それは一朝一夕で成し遂げられることではありません。
成功を収めるためには、真摯に仕事に向き合い、努力を続けることが欠かせません。そうした取り組みの積み重ねを大切にしていきましょう。
今日の心がけ◆地道に努力を積み重ねましょう
出典:職場の教養5月号
感想
「金星をあげる」という言葉を、相撲という伝統的な世界から現代の仕事や日常生活に置き換えて捉える視点には、非常に深い意味が込められていると思いました。
横綱に勝つという行為がどれほどの覚悟と努力を要するか、その背景には、表に見えない日々の稽古や心技体の鍛錬があるという説明に、重みを感じます。
そしてそれを私たち自身の働き方や生き方に照らし合わせることで、日々の積み重ねの尊さや、成果を出すまでの過程の意義を再認識させられます。
特に、「金星」は偶然の産物ではなく、長い努力の末にしか得られないという点に心を打たれました。
短期的な結果だけを求めてしまいがちな現代において、着実な歩みの大切さを静かに、しかし力強く伝えているように思います。
「今日の心がけ」である「地道に努力を積み重ねましょう」は、まさにその精神を端的に表しています。
すぐに結果が出ないことへの焦りを鎮め、信念を持って継続することの価値を思い出させてくれます。
否定的な感想
「金星をあげる」ことが給与などの具体的な報酬と結びついて評価される点には、少し気になる側面も感じました。
確かに実績が正当に評価されるのは大切ですが、その裏には「勝たなければ報われない」「成果が出なければ意味がない」という風潮が潜んでいるようにも思えます。
努力の価値を、目に見える成果や地位にばかり求めてしまうと、過程での成長やその人自身の在り方が見落とされてしまう危険もあります。
また、「横綱に勝つ」という構図があまりに象徴的すぎて、日常に置き換えるには少し距離があるようにも感じました。
多くの人にとっての「金星」は、必ずしも特別な目標や大きな成功ではなく、小さな挑戦や日々の選択の中にもあるのではないでしょうか。
その意味で、この例えが持つ重厚さが、かえって個々人の努力を比較し、過小評価する方向に働くこともあるかもしれません。
「金星」を目指すのではなく、自分なりの小さな一歩を肯定する視点も大切にしたいと思いました。