幸福の時間
Aさんは会社で責任ある立場になり、忙しい日々を送っていました。ある日、先輩にそのことを話すと、先日読んだ本に書かれていたことを教えてくれました。
それは「人生には四つの時間がある。やりたいこと、喜びを得られることをする『幸福の時間』、目的のために努力する『投資の時間』、やらなければいけないことをする『役割の時間』、無意識に過ごす 『浪費の時間』」という内容でした。
そして先輩は「A君は忙しくなったことで仕事を楽しめていないのかもしれないね。『役割の時間』にあたる仕事に喜びを感じられたら、それは『幸福の時にもなるんだよ」と言いました。
Aさんは、今の仕事をやりたくて入社したはずが、業務に追われる中で、いつしか仕事に楽しさを見出せなくなっていたことに気づきました。Aさんは先輩の言葉をきっかけに、初心を思い出すことができました。
それ以降、Aさんは忙しい中でも、「投資の時間」を作り、「幸福の時間」を生み出せるように仕事に取り組んでいます。
今日の心がけ◆時間を有効活用しましょう
出典:職場の教養5月号
感想
この話からは、「時間の質」について考えさせられました。
単に時間をどう使うかではなく、どんな感情や目的をもって使うかが、人生の充実度に直結するのだという気づきを与えてくれます。
特に印象的だったのは、「役割の時間」が「幸福の時間」になりうるという先輩の言葉です。
私たちはしばしば、やりたいことだけが幸せだと考えがちですが、実際には「やらなければならないこと」にも喜びや意味を見出すことで、人生の手触りは大きく変わってくるのだと思います。
Aさんの変化は、社会人としての成長を感じさせるものであり、自分の仕事や生活を見直すヒントになります。
「投資の時間」と「幸福の時間」を意識して作ろうとする姿勢は、自己管理能力と自己理解の深まりを示しています。
今日の心がけにある「時間を有効活用しましょう」という言葉も、単なるスケジュール管理の話ではなく、「どの時間をどう感じながら生きるか」という、深い意味を持つものだと実感させられました。
否定的な感想
この話の中で、Aさんが抱えていた悩みの根本には、「役割の時間」と「幸福の時間」が完全に別物として分断されていたことがありますが、それを先輩の言葉一つで再統合できてしまったという展開にはやや楽観的な印象も受けました。
実際には、忙しい中で「投資の時間」や「幸福の時間」を意識的に確保することは、言葉で言うほど簡単ではありません。
多くの人が「やらなければならないこと」に追われる現実の中で、そこに喜びを見出すには、相当な内省と環境調整が必要になります。
また、「初心を思い出す」ことで再び楽しめるという流れも、一種の理想論に見えました。
初心だけでは、変化した環境や責任の重みに立ち向かうには不十分なことも多いです。
むしろ、現在の立場で新たなやりがいや意味を見つけ直すほうが現実的かもしれません。
「時間を有効活用しましょう」という今日の心がけも、その前提として「何のためにその時間を使うのか」を明確にしておかないと、ただ効率よく動くだけの空虚な日常になってしまう可能性があると思いました。