2025年6月19日(木) 日常から備える

日常から備える

今年は阪神・淡路大震災から三十年の節目を迎え、能登半島地震から一年半が経過しました。いずれも年始一月の災害として記憶している人も多いでしょう。

近年では、全国で大小の地震が頻発し、異常気象とも言える局地的な大雨や大雪の災害も増加傾向にあり、生活に影響を及ぼしています。

内閣府の「防災に関する世論調査」によると、対応を家族と話し合っているが約六割、備蓄など物の備えをしているは約五割、避難場所など行動の備えにおいては三割強の人が実施しているという結果が出ています。

防災には「自助」「共助」「公助」があります。「自助」は有事の際だけではなく、事前に物や行動の備えを整え、定期的に確認を行なう。「共助」は大変な時だけ求めるのではなく、日頃から良い関係を築くことも大切です。

自然災害の予知は、現在の科学技術でも、その正確性は不透明と言われています。そのため、公助の整備も求められますが、日頃から有事のことを考え、共助の精神と自助の意識をもって行動していきたいものです。

今日の心がけ◆日頃からできる備えをしましょう

出典:職場の教養6月号

感想

阪神・淡路大震災から三十年、そして能登半島地震から一年半という節目を挙げることで、単なる抽象的な呼びかけにとどまらず、記憶と実感に根差した訴えになっている点が印象的です。

また、「自助」「共助」「公助」の三本柱に触れ、それぞれの意味を生活の中に落とし込んで説明している点が、読み手の具体的な行動に直結する導きとなっています。

特に、「共助」は災害時だけの助け合いではなく、日頃からの人間関係の積み重ねが大切だという視点には深くうなずかされました。

防災というと物理的な備蓄や避難経路の確認に目が向きがちですが、人と人とのつながりこそが真に命を支える要素だという考え方には、温かさと現実味があります。

今日の心がけにある「日頃からできる備え」という言葉も、そのまま日々の生活の姿勢として受け取りたいと思いました。

否定的な感想

この文章にはやや理想的な姿勢が強調されすぎていて、現実の困難さが軽視されている印象も否めません。

例えば「自助」の大切さを説いていますが、経済的余裕のない人や、時間や体力に限界がある高齢者・障がい者にとっては、「備える」こと自体が大きな負担であることが多く、そこへの配慮が足りないように感じました。

また、内閣府の世論調査の数字を引用していますが、それが示すのは「防災への関心の高さ」よりも「行動への移行の困難さ」ではないでしょうか。

行動に移せていない人が多いという現実に対して、その理由や背景にもう少し踏み込んだ言及があれば、ただの啓発に終わらず、読み手の状況に寄り添う文章になったと思います。

つまり、「できていない人にどう支援が届くのか」「共助や公助がどのように補えるのか」という視点が、もう少しあっても良かったのではないかと感じました。