2025年6月26日(木) 妻の気持ち

妻の気持ち

結婚三年目を迎えたSさんは、最近、妻との関係に悩んでいました。

状況を改善するため、職場の先輩の経験を参考にしつつ、洗い物や掃除を率先して行ない、妻の言葉に耳を傾けようと努力してきましたが、関係は改善するどころか日々悪化しているように感じられました。

そこでもう一度、現状を先輩に相談してみると、「奥さんが自分の気持ちを伝えてきた時に、君はどう返しているの?」と問われたのです。

そこでSさんは、妻から「子育てやご近所付き合いなどで大変なの」と言われた時に、妻の気持ちを和らげようとして「そんなの気にしても仕方がないよ」と、答えてきたことを伝えました。

すると先輩から、「それは君の意見であって、奥さんはただ自分の気持ちを受け入れてほしいのではないかな」とアドバイスされたのです。

その言葉にハッとしたSさんは、まずは妻の気持ちに共感し、受け入れることが先だと心得て、夫婦の関係改善へと再び歩み出したのでした。

今日の心がけ◆相手の気持ちを受け入れましょう

出典:職場の教養6月号

感想

この話を読んでまず感じたのは、Sさんの真摯な姿勢です。

夫婦関係がうまくいかないとき、多くの人は相手に原因を求めがちですが、Sさんは自らを省みて行動を変えようとしている。

その姿勢に敬意を抱きます。

洗い物や掃除、そして妻の言葉に耳を傾けようとする努力は、たとえ結果がすぐに伴わなくとも、誠実な愛情の証です。

特に印象的だったのは、先輩の「奥さんはただ自分の気持ちを受け入れてほしいのではないか」という言葉。

これは、誰かと本当の意味でつながるには、まず「わかろう」とする姿勢が必要だという普遍的な教訓です。

人は解決よりも共感を求めることがある。そのことにSさんが気づき、新たな一歩を踏み出したのは、小さくても確かな変化の始まりだと感じました。

今日の心がけにあるように、「相手の気持ちを受け入れる」ことは、表面的な理解ではなく、相手の内面に寄り添う態度を指します。

それができるようになったとき、人間関係は一気に豊かさを増すのだと思います。

否定的な感想

Sさんのこれまでの対応がどこか「正しさ」にとらわれすぎていたようにも感じました。

洗い物や掃除といった行動は、もちろん大切ですが、それはあくまで「補助」であって、相手の心に寄り添うことの代わりにはなりません。

言い換えれば、Sさんは「手段」を「目的」と取り違えていたのではないでしょうか。

また、「そんなの気にしても仕方がないよ」という言葉も、ある意味でSさんの価値観の押しつけです。

相手を思いやるつもりで発した言葉でも、結果として相手の孤独感を深めることがある。

Sさんに限らず、私たちは誰かの不安や疲れに直面したとき、つい「正論」で包みたくなります。

それがどれだけ無意識に相手を否定してしまうのか、もっと社会全体で学ぶ必要があるのではないかと思いました。

この話は、夫婦関係だけでなく、あらゆる人間関係において「受け止める力」の大切さを示してくれますが、そこに至るまでのSさんの遠回りもまた、日常に潜むコミュニケーションの難しさを物語っているように感じました。