職場での学び
「学びの場」と聞くと学校が思い浮かびます。しかし、資格取得の講座や各種研修など、学びの対象や場所は様々であり、職場も学びの場となります。
Aさんは建設会社の営業部で働いています。入社して数年たった頃、別の部署から異動してきた後輩の指導を任されました。
初めての経験でしたが、自身の失敗や成功例を交えながら、親身になって取り組みました。数ヵ月後、後輩は仕事内容を一通り覚え、現場での業務に取り組むようになりましたが、うまくいかないことも多いようでした。
同じようなことで悩んだ経験があったAさんは、後輩の気持ちに寄り添いながら改善点を一緒に考え、後輩が自信を持って働けるように育てていきました。
Aさんは後輩の指導を通して「どうすれば相手に伝わるのか、どのようにサポートすれば成長するのか」を学び、自身の成長にもつながったと感じました。
後輩とのやりとりで学んだことを自らの仕事に活かし、人生を豊かにするためにも、日々学び続けたいと決心したAさんでした。
今日の心がけ◆自分磨きを続けましょう
出典:職場の教養6月号
感想
このお話は、職場という日常の中にも深い学びが潜んでいることを実感させてくれました。
特に印象的だったのは、Aさんが後輩を育てる過程で「自分自身も成長した」と気づいた点です。
人を指導することは、単なる知識の伝達ではなく、自分自身の思考や経験を振り返る機会にもなります。
Aさんが後輩の悩みに共感し、具体的なサポートを通して信頼関係を築いていった姿勢には、真摯な人間関係のあり方を感じました。
「今日の心がけ」である「自分磨きを続けましょう」という言葉が、Aさんの姿勢と深くリンクしているのも好印象です。
成長は受動的に与えられるものではなく、日々の行動の中に自ら探し求めていくものなのだという意識が強く伝わってきました。
単なる業務指導にとどまらず、互いに高め合う関係を築いたことに、学びの本質があると感じます。
否定的な感想
この話に対してやや理想化されすぎている印象も拭えません。
実際の職場では、必ずしもこのように円滑に指導や成長が進むとは限らず、Aさんのように常に前向きでいられるわけではないでしょう。
後輩が成長しきれなかった場合の葛藤や、指導者としての限界、プレッシャーといった現実的な課題にも触れてほしかったと感じます。
また、Aさんの内面的な葛藤や成長のプロセスがやや抽象的で、もっと具体的なエピソードがあると、共感もしやすかったのではないでしょうか。
例えば、「どのように伝えれば響いたのか」「どんな失敗があり、それをどう乗り越えたのか」といった部分が曖昧で、説得力に欠ける側面があります。
職場での学びが個人の成長につながるというテーマは強いものですが、それを支える描写がもう少し現実的であれば、より深い感動が得られたと思います。