もったいない精神
「もったいない」は他の国の言葉に完全に対応する言葉がない日本語の一つです。
「もったいない」とは、物や人の能力をフルに活用せず、無駄にしていることを惜しむ心情を表現する言葉で、「倹約」に近い意味を持ちます。
世界では、日々多くの人々が飢餓に苦しんでいます。こうした人々に向けた食糧支援量は年間約三七〇万トンですが、日本の食品ロスは年間約四七二万トンと、支援量の約一・三倍を廃棄しています。
これは、日本国民一人が日々、おにぎり一個分(一〇三グラム)を無駄にしている計算になります。行政は食品を扱う業種と協力して、食品ロスを減らすための様々な工夫や呼び掛けを行なっていますが、なかなか減少していません。
例えば、消費者が賞味期限の長い商品を選ぶ傾向があるため、販売者は売れ残った商品を廃棄せざるを得ないことがあります。
今こそ「もったいない」の精神を発揮して、棚の手前から順番に取る「手前取り」や「適度な備蓄」を意識することで、物も心も豊かな生活を送りましょう。
今日の心がけ◆食品ロスの現状を知りましょう
感想
「もったいない」という言葉の深さを改めて感じさせられる話でした。
単に「倹約」という言葉では言い表せない、日本独自の文化や心情が込められているのが「もったいない」です。
食品ロスの現状を数字で示されると、その深刻さが胸に迫ります。支援量を上回るほどの食品を廃棄しているという事実は、私たちが日常で何気なくしている選択の積み重ねが、大きな社会問題に直結していることを突きつけてきます。
「今日の心がけ」にあるように、棚の手前から商品を取る「手前取り」や必要以上に買い込まない「適度な備蓄」といった小さな行動は、誰でも今すぐ実践できることです。
その積み重ねこそが、食の無駄を減らし、ひいては心の豊かさにもつながるのだと思います。
世界で飢餓に苦しむ人々のことを思えば、自分が「無意識に無駄にしている」ことがどれだけもったいないか気づかされます。
もったいない精神は、物を大切にするだけでなく、人や時間、環境への敬意にも広がっていくものだと感じました。
否定的な感想
この話を読むと「個人の意識」にだけ責任を押し付けすぎているようにも感じました。
確かに「手前取り」や「適度な備蓄」は大事ですが、実際に大量の食品ロスを生み出しているのは流通や販売の仕組みそのものでもあります。
例えば、消費期限が少しでも近いと並べ替えられる棚の慣習や、売り切れなければならないという過剰な在庫確保の体質は、消費者だけの努力では解決できません。
さらに、消費者が「長持ちするもの」を選ぶのは自然な行動です。
それを理由に廃棄が生まれるなら、むしろ流通の段階での工夫や仕組み改革こそ求められるべきです。
行政の呼びかけも、具体的にどのように改善されているのかが見えにくく、「結局は消費者が頑張れ」という空気にとどまっている印象を受けます。
「もったいない精神」が大切であることには共感しますが、それを個人の意識にのみ依存させるのはやや不公平にも感じます。
企業や社会全体でシステムを変える取り組みが並行して行われなければ、食品ロスの本質的な解決にはつながらないのではないでしょうか。
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