もうはまだなり、まだはもうなり
「もうはまだなり、まだはもうなり」という言葉は相場の世界で語り継がれてきた格言で、教訓や戒めを簡潔に表わした相場格言として知られています。
相場とは、商品や株式、債券などの価格を指すだけでなく、市場での価格変動によって生じる差額で利益を得る取引そのものを意味します。
この格言は、もう〈高値(あるいは底値)に達した〉と思った瞬間に、さらに価格が動くことがあり、〈まだまだ上がる(あるいは下がる)〉と思うと、すでに限界に達していることがあるという、予測の難しさを表わしています。
いつの時代でも、未来を正確に予測するのは困難であり、自分の思い描いた通りに物事が進むことの方が少ないのが現実ではないでしょうか。
日常生活や仕事においても、想定外の出来事は常に起こり得ます。不測の事態に備えるには、他者の意見に耳を傾ける柔軟さと素直さが重要です。
広い視野を持ち、多様な考え方を受け入れる姿勢こそが、想定外の事態への備えでもあると言えるのではないでしょうか。
今日の心がけ◆想定外の事態に備えましょう
出典：職場の教養10月号
感想
「もうはまだなり、まだはもうなり」という相場格言には、予測や確信がいかに危ういかという人間の慢心への警鐘が込められていて、非常に示唆深く感じました。
特に印象的なのは、この格言が単なる相場のテクニックや注意喚起ではなく、人間の思い込みや過信に対して根本的な問いを投げかけている点です。
自分が「もう限界だ」と思うときほど、実はその先があるかもしれず、「まだいける」と思っている時こそ崖っぷちに立っているかもしれない。
この両義性に、人生やビジネス全般にも通じる深い知恵が感じられます。
また、「今日の心がけ」にもあるように、想定外の出来事に備えるという態度は、現代において非常に重要な生き方だと感じます。
情報が錯綜し、環境が急変する時代だからこそ、自分の見立てを絶対視せず、むしろ「外れることを前提に準備する」という慎重さや謙虚さが求められるのでしょう。
多様な視点に耳を傾ける柔軟な姿勢は、堅実さと成長の両立にもつながると感じました。
否定的な感想
「もうはまだなり、まだはもうなり」という格言の構造は、ある意味でどこまでも相対化されていて、行動の指針としては曖昧に感じる側面もあります。
どちらにしても裏切られる可能性があるという前提に立つと、結局何を信じて判断すればよいのかが分からなくなる危うさがあります。
「確信するな」「過信するな」という警告は重要ですが、そればかりが強調されると、行動を決めるための足場が揺らぎ、決断力や実行力が鈍る恐れもあります。
また、相場における格言を日常や仕事にそのまま応用するのは、やや無理があるとも感じます。
相場ではリスクを取ることが前提ですが、日常生活では慎重すぎて何も進まないという状態もまた問題です。
予測の不確かさを受け入れる一方で、ある時点ではどこかで覚悟を決めて進まなければならない場面もあります。
「想定外に備える」ことと「不安に怯えて行動しない」ことは違う。
その線引きをどうするかが、本当に大切なテーマだと感じました。
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