2026年2月12日(木) 空間を作る

空間を作る

リモートで会議をしたり、授業やセミナーが受けたりできるようになり、情報伝達やコミュニケーションの利便性は格段に向上し、社会の常識となりました。

近年、業務のオンライン化が急速に進む中で、人間の空間に対する認識が変わってきていると、日本身体性学協会代表の藤本靖氏が指摘しています。

例えば、最近では高い声を出せない若い人が増えており、それは、頭上の空間の感覚が鈍く、空を感じたりすることが少ないからではないかと述べています。

人の身体感覚は、社会環境や空間の影響を無意識に受けているのかもしれません。活気がある場所に行けば自然と元気になり、ギクシャクした職場にいると雰囲気の悪さをストレスに感じ、人によっては体調を崩すこともあります。

人は空間を共有することで、いつのまにか関係し合っているのでしょう。一人が明朗な心で仕事に向き合えば、自ずと周りが明るくなってきます。より良い職場を作ろうとする意識は、労働環境の改善と生産性の向上につながります。

より良い仕事に取り組むための環境や雰囲気作りを大切にしたいものです。

今日の心がけ◆良い空間作りに励みましょう

出典:職場の教養2月号

感想

リモート技術の普及は、私たちの生活から「物理的な距離」という制約を取り払ってくれましたが、代償として「空間の奥行き」という身体感覚を希薄にさせてしまったのかもしれません。

藤本靖氏が指摘する「高い声を出せない若者」というエピソードは非常に考えさせられました。

声は単なる音の振動ではなく、自分が立っている空間の広がりや高さに呼応して発せられるものです。

モニターという二次元の枠内に意識が閉じ込められることで、私たちの身体は知らず知らずのうちに、天を仰ぐことや遠くを見渡すといった「三次元的な広がり」を喪失しているのではないでしょうか。

この物語が説く「空間の共有」は、単に同じ部屋にいること以上の意味を持っています。

私たちは、言葉にならない微細な空気感、例えば隣に座る人の呼吸や、その場の熱量、あるいは静謐な緊張感といったものを、肌を通じて感知し、それによって自分自身の心身を調整しています。

一人の「明朗な心」が周囲を明るくするという洞察は、まさにこの目に見えないエネルギーの循環を捉えたものです。

物理的な環境を整えるだけでなく、自分が発するエネルギーそのものが空間の質を決定づけるという自覚を持つことは、孤独になりがちな現代の働き方において、最も本質的な「セルフケア」であり「チームビルディング」であると感じます。

否定的な感想

この論理には「個人の精神論」に重きを置きすぎているという懸念も拭えません。

「一人が明朗な心で向き合えば、周りが明るくなる」という考え方は、美徳である反面、職場の環境改善の責任を個人の内面に転嫁してしまう危うさを孕んでいます。

ギクシャクした職場や、ストレスフルな環境において、個人の努力だけで空気を変えようとすることは、往々にしてその個人をすり減らし、燃え尽きさせてしまう原因にもなり得ます。

環境が身体に影響を与えるという前提に立つならば、まず変えるべきは個人の心持ちよりも先に、構造的な労働負荷や人間関係の不透明さといった、より具体的でシステム的な側面であるべきではないでしょうか。

また、「高い声を出せない」といった現象を、安易に空間認識の欠如と結びつける解釈も、多分に主観的であり、科学的な根拠に乏しい印象を与えます。

オンライン化によるコミュニケーションの変容は、必ずしも感覚の「鈍化」ではなく、新しい環境への「適応」という側面もあります。かつての身体感覚を基準にして、現代の変化を「欠如」として捉える視点は、進歩に対する保守的な懐疑心に過ぎないかもしれません。

良い空間作りを「励みましょう」という呼びかけが、具体的な方法論を欠いた精神的なスローガンに留まってしまうと、本質的な生産性の向上や環境改善には繋がりにくいのではないかと感じます。

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