失敗した時こそ
ある飲食店の店舗設計を担当している建築士のTさんは、同時に、店舗内のインテリアをコーディネートする業務も任されることとなりました。
「店舗に置く椅子やテーブルなどの什器は落ち着いた色にしてほしい」という要望を、お客様との打ち合わせでTさんは聞いていました。
しかし、家具を製作する業者への指示を誤り、予定よりも明るい色の製品が出来てしまったのです。Tさんはまず、出来上がった製品をお客様に見てもらった上で、自らの過失を詫び、すぐに要望されていた色に作り直す旨を伝えました。
すると、「案外こちらの色の方が店舗の雰囲気に合っているから、このままでいいですよ」とお客様に言われ、作り直すことなく納品が終了したのでした。
怪我の功名ともいえる出来事でしたが、Tさんが何かしら理由をつけて言い逃れをしていた場合には、同じような結果にはならなかった可能性があります。
業務を進めていく上で、ミスや失敗は誰しも起き得ることです。そのような時こそ、お客様に向き合い、誠実に対応していきたいものです。
今日の心がけ◆ 真摯に業務を進めましょう
出典:職場の教養6月号
感想
ミスが発生した瞬間のTさんの迅速かつ誠実な対応と、それが生んだ温かい結末に、ビジネスにおける「信頼」の本質を見た気がして深く感銘を受けました。
発注ミスというのは、どんなに気をつけていても起こり得る恐ろしいハプニングです。
特に内装や什器のように形として残るものでミスが発覚した時、Tさんの胸中には計り知れない焦りや恐怖があったはずです。
しかし、そこで言い訳をしたり事実を隠蔽したりせず、まずはありのままの製品をお客様に見せ、自分の過失を真っ直ぐに詫びて解決策を提示した。
この引き際の潔さと誠実さこそが、お客様の心を動かした最大の要因だと感じます。
お客様が「こっちの色の方がいい」と言ってくれたのは、単なる偶然のラッキー(怪我の功名)ではなく、Tさんの誠実な態度に対して「この人が言うなら、一度このまま受け入れてみよう」という心理的な安心感や好意が働いたからではないでしょうか。
ピンチの時ほど、その人の人間性や仕事への姿勢がむき出しになります。
Tさんのように、ミスを隠さず正面から向き合う勇気を持つことが、結果としてトラブルを乗り越え、より強固な信頼関係を築くきっかけになるのだと、身が引き締まる思いがしました。
否定的な感想
このお話が「誠実に謝ったら結果オーライだった」という美談として完結している点には、実際のビジネスの厳しさから見ると、少し楽観的すぎるのではないかという懸念も抱きました。
今回はたまたまお客様が寛大な方で、かつデザインの変更が好転するという奇跡的な偶然が重なりましたが、これは極めて稀なケースだと言えます。
実際の店舗設計や商業ビジネスの現場では、ブランドのコンセプトやカラーが厳密に決まっていることが多く、指示ミスによる色の違いは重大な契約違反や納期の遅延、最悪の場合は多額の損害賠償に発展しかねない致命的な問題です。
「言い逃れをしなかったから良い結果になった」という部分だけを強調してしまうと、ミスの原因究形や、そもそもなぜ指示誤りが起きてしまったのかという「再発防止策」への意識が薄れてしまう危険性があります。
誠実に対応することは大前提として当然の義務であり、それ以上に大切なのは、二度と同じミスを起こさないためのチェック体制の構築です。
偶然の幸運に救われたエピソードを単に称賛するだけでなく、プロフェッショナルとしてミスそのものを防ぐプロセスの重要性や、危機管理のシビアさについても同時に触れるべきではないかと個人的には感じました。
感想がいまいちピンとこない方は…
「なんかしっくりこないんだよなぁ」「でもなかなか思いつかない…」そんな時は、感想文ジェネレーターをお試しください。
あなたのお好みのテイスト・文字数で職場の教養の感想文を生成できます!