人生の宿題
K氏が、先日、退職して一年になる元上司のF氏を訪ねたときのことです。F氏は退職後の生活の様子を語ったあと、「私の反省も込めて言うのだが…」と前置きし、人生の軸を持つことの大切さについて語り始めました。
「人生の軸、つまり自分の考え方や行動の基軸となるものを持たなければ、他人の意見に自分の意見を置き換えたり、世間の価値観に流されたりしてしまう。それでは、自分の人生を生きたという充実感は得られない」
さらにF氏は、「若い君にはぜひ人生の軸を立ててほしい。それは日々の生活、職場での決断や実行に良い影響を与え、何より君の人生を意義あるものにするだろう」と続けました。
最後にF氏は、「人生の軸は、家族や職場、社会など自分以外のものに目を向け、それらに対して何をするかを考えることで生まれる」と述べました。
F氏から大きな宿題を与えられたと受け止めたK氏は、「人生の軸を立てることができたら、すぐに報告に伺います」と約束して帰りました。
今日の心がけ◆人生の軸をはっきり定めましょう
出典:職場の教養8月号
感想
私はこの文章を読んで、「人生の軸」とは単に自分の夢や目標を決めることではなく、迷った時に何を基準として判断するのかを持つことなのだと感じました。
仕事でも人生でも、周囲からさまざまな意見を聞き、世間の価値観に触れます。
それらを参考にすることは大切ですが、自分なりの判断基準がなければ、その時々の状況に流されてしまうことがあります。
退職後のF氏が「私の反省も込めて」と語っているところには、長く働いてきたからこそ振り返って見えてきたものがあるように感じられ、言葉に重みがありました。
特に心に残ったのは、人生の軸を「自分が何を得たいか」だけではなく、家族や職場、社会に対して「自分は何ができるか」という視点から考えている点です。
自分のためだけの目標は状況によって変わることがありますが、誰のために、何のために行動するのかという思いは、長く自分を支えるものになるのかもしれません。
仕事でも判断に迷った時、「自分は何を大切にしたいのか」が明確であれば、行動にも一貫性が生まれます。
人生の軸は一度に見つけるものではなく、日々の経験や人との関わりの中で少しずつ形になっていくものだと思います。
私自身も、目の前の選択を大切にしながら、自分が何を大切にして生き、働いていきたいのかを考え続けたいと感じました。
否定的な感想
私はこの文章を読んで、「人生の軸をはっきり定める」という結論には、少し強さを感じました。
人生では立場や環境が変わり、若い頃に大切だと思っていたことが、結婚や子育て、転職、退職などを経験することで変化することもあります。
そのため、一つの揺るがない軸を早い段階で定めなければならないと考えると、かえって自分を縛ってしまう場合もあるのではないでしょうか。軸を持ちながらも、経験に応じて見直していく柔軟さも必要だと思います。
また、F氏は「自分以外のものに目を向け、それらに対して何をするかを考えることで生まれる」と語っていますが、人生の軸の見つけ方は人によって異なるように感じます。
家族や社会への貢献を大切にする人もいれば、自分自身の好奇心や創造性、専門性を追求することから生き方の基準を見つける人もいるでしょう。
K氏がすぐに「軸を立てたら報告する」と約束する展開も、人生の大きなテーマとしては少し簡単にまとまりすぎている印象があります。
すぐに答えを出そうとするのではなく、迷いながら考え続けること自体にも意味があるはずです。
「定める」だけでなく「問い続ける」という視点が加われば、人生の軸というテーマがさらに深く伝わったのではないかと感じました。
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