2026年2月27日(金) 笑う門には健康来る

笑う門には健康来る

日本語には「笑う門には福来る」という諺がありますが、「笑い」には良い結果をもたらす力があるようです。

その一つが、健康です。世界最高齢男性としてギネス記録に認定された新潟県上越市の渡邉智哲さんは、二〇二〇年に一一二歳で亡くなりましたが、生前に長寿の秘訣を尋ねられ、「笑うこと」と答えています。

また、日常生活でよく笑う人は、笑わない人に比べて長生きする可能性が高いことを示す研究結果もあります。

例えば、四十歳以上の山形県の地域住民、約一万七千人を対象に行なった調査では、週に一回以上声を出して笑う人と、月に一回程度しか笑わない人とでは、五年間の死亡リスクに約二倍の差がありました。

もちろん、笑えば誰もが健康になれるわけではありません。しかし、笑うことで気分が晴れ、ポジティブな感情が生まれれば、心身のストレスは軽減されます。

意識的に笑う機会を増やし、朗らかに日々を過ごしたいものです。

今日の心がけ◆笑う習慣をつくりましょう

出典:職場の教養2月号

感想

「笑う」という行為を単なる感情の発露としてではなく、生命力を維持するための「能動的な習慣」として捉える視点に、深い感銘を受けました。

渡邉智哲さんの言葉や山形県での調査結果は、笑いが精神論的な気休めではなく、肉体という器を健やかに保つための具体的な「良薬」であることを雄弁に物語っています。

特に、死亡リスクに二倍の差が出るというデータは、笑いが心臓の鼓動や血流、免疫系といった生命の根源的なリズムに、いかに深く干渉しているかを突きつけてきます。

現代社会において、私たちはつい「面白いことがあるから笑う」という受動的な姿勢に陥りがちです。

しかし、この物語が示唆しているのは、たとえ環境が厳しくとも、自らの意志で口角を上げ、声を出すことが、過酷な現実に対する最大の防御であり、攻撃でもあるということです。

笑いは、ストレスという名の重圧を跳ね返すための心の弾力性(レジリエンス)そのものです。

112歳という天寿を全うされた方の言葉に重みがあるのは、それが単なる知識ではなく、長い歳月の中で自らの身体をもって証明し続けた「生きる技術」だからではないでしょうか。

朗らかに過ごすことは、自分自身を慈しむ最高の方法なのだと強く実感させられます。

否定的な感想

この「笑う門には福来る」という教えが、時として現代人にとっての「見えない圧力」になり得る危うさも感じざるを得ません。

笑うことが健康に直結し、死亡リスクを下げるというデータが強調されすぎると、笑えない状況に置かれている人々や、悲しみの中にいる人々に対して、「笑えないのは自己責任である」とか「笑わないから不健康なのだ」といった無言の断罪を生んでしまう懸念があるからです。

ポジティブであることが「正解」とされる社会では、負の感情を抱くことが一種の敗北のように感じられ、かえって心を追い詰めてしまうパラドックスが存在します。

また、調査結果にある「声を出して笑う頻度」という指標も、内向的な性格の人や、静かに喜びを噛み締めるタイプの人にとっては、少々暴力的な物差しに映るかもしれません。

外見的な「笑い」というポーズを習慣化することに執着するあまり、内面の静かな平穏や、時には必要な「嘆き」を疎かにしてしまうのは本末転倒です。

健康のために義務的に笑うという行為は、果たして本当に心からのストレス軽減に繋がっているのでしょうか。

形式的な「笑い」の推奨が、個々人が持つ多様な感情のグラデーションを塗りつぶし、画一的な「朗らかさ」を強要する文化を助長していないか、私たちは慎重に見極める必要があるでしょう。

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