2026年7月1日(水) 星の歌

星の歌

「ささの葉さらさらのきばにゆれる」という歌い出しで親しまれている童謡「たなばたさま」。幼い頃に歌った記憶を持つ人も多いのではないでしょうか。

この七夕の歌に象徴されるように、星は身近な存在として人々の心に寄り添ってきました。星を題材にした文学作品は、古今を問わず数多く残されています。

宮沢賢治は「星めぐりの歌」を作詞・作曲しました。星座を織り込んだ歌詞と、ゆったりとした旋律は、夜空を散歩するような心地よさを与えてくれます。

万葉歌人・柿本人麻呂は、「天の海に 雲の波立ち 月の船 星の林に 漕ぎ隠る見ゆ」と詠みました。天空を海に見立て、雲を波、月を船、星々を林にたとえることで、夜空を壮大で幻想的な世界として描き出しています。

このように星を題材とした作品に触れることで、新たな着想を得るとともに、文学への親しみも深まります。

実際に夜空を見上げて星を眺める時間は、多忙な日常から心を解き放ってくれます。心身の緊張が解きほぐされ、よい気分転換になることでしょう。

今日の心がけ◆緊張を解きほぐしましょう

出典:職場の教養7月号

感想

幼い頃に口ずさんだ「たなばたさま」のメロディを思い出すと、それだけで不思議と心がすうっと穏やかになるような気がします。

このお話を読んで、大昔の人たちも現代の私たちと同じように、夜空を見上げては、そこに自分たちのちっぽけな悩みや、あるいは果てしないイマジネーションを重ね合わせていたのだと気づかされ、なんだか温かい気持ちになりました。

特に柿本人麻呂の「星の林」という表現には、言葉のセンスの美しさにハッとさせられます。科学的な知識がなかった時代だからこそ、夜空を一つの壮大なキャンバスや海に見立てて、自由で豊かな物語を紡ぎ出すことができたのかもしれません。

宮沢賢治の音楽もそうですが、星という遠く離れた存在を、自分の心の一番近いところに引き寄せて表現する営みは、人間が本来持っている「世界を美しく解釈する力」そのものだと感じます。

日々の仕事や生活のタスクに追われていると、私たちの視線はどうしても手元のスマホやパソコンの画面、あるいは地面ばかりに向いてしまいがちです。

そんな時に、あえて一瞬立ち止まって首を長く伸ばし、何万光年も先から届く星の光を浴びる。それだけで、今自分が抱えている焦りやプレッシャーが、宇宙の長い歴史の中のほんの一瞬の出来事のように思えてきて、肩の力がふっと抜けるような気がします。

ただの気晴らしというだけでなく、自分の内側にある感性を呼び覚まし、心の余白を取り戻すための大切な習慣として、夜空を見上げる時間を作ってみたいと思いました。

否定的な感想

このお話を読みながら、どこか少し寂しい現実とのギャップを感じてしまったのも正直なところです。

「夜空を見上げて星を眺める」という行為は、とてもロマンチックで理想的なリフレッシュ方法ですが、現代の都市部に暮らす多くの人々にとって、それは決して簡単なことではないように思います。

街灯やビル群の明かり、いわゆる光害によって、見上げた空には数個の明るい星しか見えないのが日常です。万葉の時代のように「星の林」を感じたり、宮沢賢治が見たような深い夜空を体感したりするためには、わざわざ遠くまで出かけなければならないというハードルがあり、かえって現代の閉塞感を意識させられてしまう側面もあるのではないかと感じました。

また、心が疲れていたり、本当の極限状態にある時ほど、こうした「綺麗な自然の美しさ」を素直に受け入れる心の余裕すら持てないのが人間のリアルな姿ではないでしょうか。

「星を見てリラックスしましょう」という提案は、ある程度、心にまだ立ち止まるだけの余力がある人向けの優等生的なアドバイスのようにも聞こえてしまいます。

本当に忙しくて緊張しきっている時には、星を見ることで自分の孤独感や小ささが際立ってしまい、余計に寂しさを覚えてしまうことだってあるかもしれません。

単に星空の持つ癒やしの効果を賛美するだけでなく、星が見えない曇り空の夜や、都会の真ん中で暮らす方たちが、どうやって日常の中に静かな心の安らぎを見出していくかという、もう一歩踏み込んだ視点も欲しかった気がします。

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