年齢に合わせた学び
「若い頃は疲れを知らなかった」と豪語するAさんは、六十歳を過ぎた頃から無理が利かなくなったといいます。世間には八十歳を過ぎても現役で働く人もいますが、おおむね年齢に応じて、若い頃とは異なる働き方をしているものです。
室町時代に「能」を大成させた世阿弥は、その著書『風姿花伝』の「年来稽古条々」において、年齢ごとの稽古のあり方を述べています。世阿弥は、五十歳を過ぎたなら若者の真似をするのではなく、「しない」という芸を勧めています。
これは、失っていくものを取り戻そうとするのではなく、引き算の中で光るものを芸の花として咲かせていくことを意味しているようです。
子供の頃の愛らしさや若者の力強さは、年齢とともに失われていきます。その分、培ってきたものが残り、その年齢でしか出せない魅力が生まれるものです。
現状を維持する努力も大切ですが、時には今ある良さを生かし、思い切って手放すことも必要なのかもしれません。普段の仕事でも、自分にふさわしい働き方はないかを見直し、常に創意工夫していきたいものです。
今日の心がけ◆強みを生かしましょう
出典:職場の教養8月号
感想
私はこの文章を読んで、年齢を重ねることを「できなくなること」として捉えるのではなく、「今の自分だからできること」に目を向ける考え方が印象に残りました。
若い頃と同じ体力や勢いを保とうとしても、いつか無理が生じます。
そこで失ったものばかりを追いかけるのではなく、長年の経験によって身についた判断力や落ち着き、人を見る力などを生かす。
その姿勢は、年齢にかかわらず仕事を続けていくうえで大切なのだと思います。
世阿弥の「しない」という芸も、単に何もしないのではなく、余計なものを削り、本当に必要なものを際立たせることなのだと感じました。
仕事でも、経験を積むほど何でも自分で抱え込むのではなく、若い人に任せたり、自分は助言や支援に回ったりすることが必要になるでしょう。
それは役割が小さくなることではなく、自分の強みを別の形で発揮することだと思います。
また、この考え方は年齢だけの話でもありません。環境や立場が変われば、以前の成功方法が合わなくなることもあります。
その時々の自分を受け入れ、「今、何を生かせるか」を考えることが、新しい成長につながるのではないでしょうか。
私自身も、できないことを無理に補おうとするだけでなく、これまで培ったものを見つめ直し、自分らしい働き方へ変えていく柔軟さを大切にしたいと感じました。
否定的な感想
私はこの文章を読んで、年齢に応じて働き方を変えるという考えには納得できるものの、年齢と能力の変化を少し結びつけすぎているようにも感じました。
体力や得意なことの変化には大きな個人差があります。
六十歳を過ぎても新しい仕事に挑戦する人もいれば、若くても体力より経験や工夫を生かす働き方が向いている人もいます。
そのため、「年齢相応」という考え方が強くなると、本人の可能性まで周囲が決めてしまう危険もあるように思います。
また、世阿弥の芸の考え方を現代の仕事へ結びつける部分には、もう少し具体的な説明が欲しいと感じました。
「思い切って手放す」といっても、何を手放し、何を強みとして残すのかは簡単には判断できません。
例えば、体力を使う仕事を後輩に任せて経験を伝える役割に回る、慣習的に続けてきた作業を見直すなど、職場での具体例があれば実践につなげやすかったでしょう。
大切なのは年齢によって自分を制限することではなく、自分の現在の状態を正しく理解し、必要なら新しい能力も身につけながら役割を変えていくことだと思います。
その視点が加われば、「強みを生かす」という結論がさらに前向きに伝わったのではないかと感じました。
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