2026年5月21日(木)  成長のステージ

成長のステージ

「初心忘るべからず」という言葉は、室町時代に「能」を大成させた世阿弥の言葉です。

これは、五十代半ばに著した『花鏡』という伝書に記されています。一般的には、物事を習い始めた時の志を忘れてはならないという意味で理解されていますが、世阿弥が語る「初心」とは、繊細で複雑な意味を持っていました。

それは、最初の初心に限らず、若い頃の初心、老後の初心など、人生のそれぞれの時期に初心があり、今まで体験したことのない新しい事態に対応するときの方法や、試練を乗り越えていくときの戦略や心構えを意味しています。

例えば、二十四~五歳頃の若い時の「初心」とは、一時的な成功で周りからちやほやされることもあるが、その時ほど安住せず、自身の未熟さに気づき、先輩や師匠に質問し、自分を磨き高めるべきだとしています。

世阿弥は能で最も大切なものである、能役者が放つ輝きを「花」と表現しました。

私たちも「初心」を忘れず、今いる環境こそ、自分自身を更に成長させるステージだと受け入れ、仕事を通してその時々の「花」を咲かせましょう。

今日の心がけ◆ 「初心」を意識しましょう

出典:職場の教養5月号

感想

世阿弥の言葉の本当の意味を知ると、目の前がパッと開けるような、新鮮な驚きを感じました。

私たちは普段、「初心」というと、新入社員の時の緊張感や、何かを新しく始めた日のワクワクした気持ちだけを思い浮かべがちです。

でも、人生のあらゆるステージ、それこそ40代や50代、そして老後に至るまで、その時々の「新しい初心」があるという考え方には、深く納得させられました。

これって、裏を返せば「人生にゴールなんてなくて、私たちはいつでも新しい挑戦のスタートラインに立っている」ということなんだと思います。

ある程度経験を積んで、仕事や生活が軌道に乗ってくると、どうしても守りに入ったり、過去の成功パターンに頼りたくなったりするものです。

けれど、環境が変わったり、予期せぬ壁にぶつかったりした時こそ、これまでのプライドを一度脇に置いて、「今の自分にできることは何か」をゼロから問い直すチャンスなのかもしれません。

いくつになっても自分の未熟さを素直に認め、新しいエッセンスを吸収しようとする姿勢こそが、その年齢だからこそ放てる大人の魅力を引き出すのだと感じました。

常に変化を恐れず、その時々の自分にしか咲かせられない「花」を模索し続ける生き方は、とても人間らしくて格好いいなと思います。

否定的な感想

この「常に初心であれ、成長し続けよ」というメッセージは、受け取り方によっては少し息苦しさを感じさせるかもしれない、とも思いました。

世阿弥が生きた能の世界は、一瞬の油断が命取りになるような厳しいプロフェッショナルな環境です。

それをそのまま現代の私たちの日常生活や仕事に当てはめてしまうと、「常に自分を追い込み、一生走り続けなければならない」という強迫観念に変わってしまうリスクがあるような気がするのです。

特に、人生の転換期や、少し立ち止まって充電したいと考えている時期の人にとっては、「さらに成長するステージだ」と言われると、プレッシャーに感じてしまうのではないでしょうか。

人間、いつでも前を向いて新しい試練に立ち向かえるわけではありません。

時にはこれまでに築いてきた貯金でやりくりしたり、現状維持で心を休ませたりする時間も、人生には絶対に必要だと思うのです。

すべての時期に初心を求め、常に向上心を持ち続ける生き方は確かに尊いですが、それが義務になってしまうと心が疲弊してしまいます。

「花を咲かせる」ことに囚われすぎず、時にはただ根を張って静かに過ごす時期があってもいいのではないか、という視点もどこかに持っておきたいと感じました。

感想がいまいちピンとこない方は…

「なんかしっくりこないんだよなぁ」「でもなかなか思いつかない…」そんな時は、感想文ジェネレーターをお試しください。

あなたのお好みのテイスト・文字数で職場の教養の感想文を生成できます!