親しい仲こそ
保険会社の営業職として働くSさんは、散髪の際には同じ理容師に髪を切ってもらっており、十年ほどの付き合いになります。
細かい注文をしなくても、「いつも通りで」の一言で希望通りの髪形に仕上げてくれるため、Sさんは安心してその理容室に通っていました。
ところが最近、理容師の応対が以前ほど丁寧ではないと感じるようになりた。〈以前は髪形を細かく確認したり、シャワーの温度を気遣ったりしてくれていたのに・・・〉と不満を覚え、これを機に別の店へ変えようと思いました。
そんな折、Sさんが長年担当してきた顧客から突然、契約解除の連絡が入りました。理由を尋ねても詳しい説明はなく、Sさんは、〈自分も知らず知らずのうちに、お客様への対応がおろそかになっていたのではないか〉と振り返りました。
慣れ親しんだ相手や長年の付き合いだからこそ、無意識のうちに気の緩みや甘えが生じることがあります。親しい相手にこそ、真心を込めて丁寧に接していきたいものです。
今日の心がけ◆慣れに甘えず行動しましょう
出典:職場の教養11月号
感想
長い付き合いの安心感に、自分が甘えていないか振り返りたくなるお話でした。
相手の好みや考え方が分かるようになると、確認しなくても大丈夫だと思いがちです。
けれども、自分にとっては慣れた対応でも、相手には「以前より大切にされていない」と感じられることがあるのだと思いました。
特に印象に残ったのは、Sさんが理容師への不満を、自分の接客を見直すきっかけにしたことです。
サービスを受ける側では気づく小さな変化も、提供する側になると見落としてしまうのかもしれません。
他人の対応が気になったとき、自分にも似たところがないか考える姿勢は、仕事でも大切にしたいと感じました。
また、十年の付き合いがあっても、希望や状況がずっと同じとは限りません。
「いつも通り」という言葉に安心しきらず、ときどき相手の今の気持ちを確かめることも、関係を続けるためには必要だと思います。
以前のことを覚えている気遣いと、変化に気づこうとする気遣いの両方があると、より安心できそうです。
親しくなることで会話や手順が簡単になっても、感謝や配慮まで省かないようにしたいです。
いつもの相手だからこそ、今日も選んでもらっていることを忘れず、丁寧に接していきたいと思いました。
否定的な感想
Sさんが自分の対応を振り返ったことは理解できますが、顧客の契約解除と、接客がおろそかになっていたことを結びつけるには、根拠が足りないと感じました。
本文では解除の理由が分かっていません。
顧客の生活や経済状況、必要とする保障が変わった可能性もあり、対応への不満が原因だったとは限らないと思います。
自分の仕事を見直す姿勢は大切ですが、理由の分からない出来事をすべて自分の気の緩みに結びつけると、必要以上に自分を責めてしまうこともあります。
対応に改善点がなかったか振り返ることと、契約解除の原因を判断することは、分けて考えたいと感じました。
理容師の応対についても、Sさんが「いつも通りで」と任せていたことで、相手は細かな確認を省くことが希望に沿う対応だと考えていたのかもしれません。
温度への配慮などは続けてほしいですが、確認が減った理由を、慣れによる甘えだけで説明するのは少し早いように思います。
長い付き合いでも、お互いの期待が自然に一致するとは限りません。
丁寧に接しようと心がけることに加えて、何を望んでいるかを言葉で確かめ合うことも必要だと思いました。
不満を抱えたまま離れる前に、伝えることで改善できる関係もあるのではないでしょうか。
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