頼まれごと
パンの製造・販売事業を営んでいるKさんは、ある日、友人の紹介で、地元のコーラス楽団が定期的に行なっている会合に参加しました。
その後、何度か続けて参加していると、今度は会合の終了後に開かれる懇親会で、Kさんの作ったパンを提供してほしいと相談されました。Kさんは通常のパン作りで忙しい状況ではありましたが、担当者が他に頼める業者を見つけられず困っていたこともあり、依頼を引き受けることにしました。
そして何とか時間をやりくりしてパンを焼き上げ、懇親会で提供すると、コーラス楽団のメンバーはとても喜んでくれました。
回を重ねるごとに参加者と親しくなったKさんは、食感や具材、味付けなど、さまざまな要望を聞くようになり、そのつど試作や改良を重ねていきました。その結果、新商品の開発につながり、パン屋の売上増加にも結びついたのです。
頼まれごとひとつでも、取り組む心持ちによって結果は大きく変わります。相手の喜びを自分の喜びとして、積極的な姿勢で業務に臨みたいものです。
今日の心がけ◆喜んで業務に臨みましょう
出典:職場の教養4月号
感想
Kさんのエピソードを読んで、一番に心に響いたのは「忙しさ」を理由に扉を閉ざさなかった勇気です。
日々の業務で手一杯な時に、新しい依頼を受けるのは決して簡単なことではありません。下手をすれば自分の首を絞めることになりかねないからです。
でも、Kさんは担当者の困り果てた顔を見て、損得勘定抜きで一歩踏み出しました。
この「誰かのために」という純粋な動機が、結果的に自分自身の世界を広げる鍵になったのだと感じました。
特に印象的だったのは、パンを提供して終わりにするのではなく、懇親会の場でメンバーの声に耳を傾け続けた点です。
単なる「納品」で終わらせず、相手のこだわりや好みに深く入り込んでいったからこそ、独りよがりではない「本当に求められる新商品」が生まれたのだと思います。
頼まれごとは、ともすれば「こなすべきタスク」になりがちですが、Kさんのように相手の笑顔を自分のガソリンにできる人は、どんな場所でも新しい価値を見出せるのでしょう。
自分の技術が誰かを喜ばせ、それが巡り巡って自分の成長や成果として返ってくる。
そんな温かい循環の始まりを見せてもらった気がして、私自身も目の前の役割に対して、もっとオープンな心で向き合いたいと強く思わされました。
否定的な感想
この美談の裏側にある危うさについても、少し考えてしまいました。
Kさんは結果的に成功を収めましたが、もし彼がもっとキャパシティの限界に近い状態で無理を重ねていたら、本業のパン作りに支障が出ていたかもしれません。
「困っているから」という理由で何でも引き受けてしまう姿勢は、時として自己犠牲を強いることになり、長続きしないリスクを孕んでいます。
善意に甘える側が、Kさんの努力を「やってくれて当たり前」と捉え始めてしまったら、この関係性は途端に苦しいものに変わってしまうのではないかと、少しハラハラする気持ちもあります。
また、要望を細かく聞き入れて改良を重ねるプロセスも、一歩間違えれば「便利屋」として消費されてしまう可能性があります。
新商品の開発に繋がったのは、Kさんに高い技術と、それをビジネスに昇華させる冷静な視点があったからこそです。
全ての「頼まれごと」がポジティブな結果を生むわけではなく、時には自分のリソースを守るために断る勇気も、プロフェッショナルとしては必要なのではないでしょうか。
今回のケースは、Kさんの並外れた体力と、相手側の感謝の念が奇跡的に噛み合った幸福な例ですが、これを「いつでも誰でも真似すべき正解」として一般化してしまうのは、少しだけプレッシャーを感じてしまう部分でもあります。
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